ガイディングに正解はない

通訳案内士(通称・通訳ガイド)の仕事は何か?
と聞かれたら、海外から日本を訪問して下さったお客様に対し、外国語を使って観光案内すること、と答えています。
そしてそのことをガイディングと呼んでいます。

私が通訳ガイドになりたての新人ガイドの頃、お客様との一日が終わったあとはいつも
「今日のガイディングは正解だったのだろうか?」
と悩むことばかりでした。
基本的に一人でする仕事なので、私のガイディングをお客様以外の誰かが仕事ぶりを見て、私の間違いを指摘してくれるわけでもなく、ただ一人反省会をするしかないのです。

それでも、目の前のお客様にとにかく楽しい一日を過ごしてほしい!そのためにできることを精一杯していこう、と自分なりに試行錯誤を繰り返しながら時間が過ぎ、早いもので通訳案内士の資格取得から10年が経とうとしています。当時は1歳だった長男も11歳になり、その間には次男も生まれ、私もその分歳をとりチャームポイント?に小ジワが加わりました。

そしてたくさんのお客様との有難い出会いを経て、今思うことは、ガイディングに正解は無いのだ、ということ。なぜならお客様によって正解は異なるし、そのお客様だって体調や気分により求めるものが変わる可能性もあるのです。
でも、正解はなくとも、どのお客様であっても守りたい「原則」はあることにも気づいてきました。
それは、とてもシンプルなことで
・お客様の話にしっかり耳を傾けること。
・疲れすぎていらっしゃらないか、無理をなさっていないか、さり気なく観察すること。
そして、何より
・プロとしての立場は忘れず、その上で、できる限りお客様との一期一会の時間を「一緒に楽しむ」姿勢を持つこと。

今もまだ試行錯誤は続きますが、正解を求めるよりは、どうしたらもっと楽しんで頂けるか、目の前のお客様と向き合い楽しみながら、自分なりの理想のガイドに近づいていきたいと思っています。